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手塚前派による、漫画評論、及び活動日記
本家→手塚前派・http://tedukazenha.com/
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手塚前派的 漫画感想日記 2
正チャンの冒険
正チャンの冒険

第2回は「正チャンの冒険」です。

この漫画は、私が手塚前派を始めるキッカケになった漫画です。

出会いは、書店で働いているときのことでした。
書店の本の入荷のシステムというのは、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、同じ漫画(本)でも、雑誌、書籍、ムックといくつかの種類があり、その種類ごとに発売日に入荷してくるタイミングが違ったりします。

基本的に雑誌扱いの漫画(本)は(週間漫画雑誌や、月間漫画雑誌はもちろんのこと、ジャンプコミックスなどの新書サイズの漫画も雑誌扱いです)、発売日の前日の夕方に入荷します。そして、次の日の朝、店の開店前に商品を入れ替えるのです。

ムックについては、今回省きますが、「正チャンの冒険」は書籍扱いでしたので、発売日当日の午後2時頃に、新刊として入荷してきたのです。

書店員というのは、その人それぞれの好みというのもありますし、次の月の新刊の入荷数を各担当ごとにチェックして、決定していますが、自分の担当棚以外の商品には結構無関心な人もいます。

ましてや「正チャンの冒険」のような書籍扱いの漫画はヘタをすれば、仕入課の判断によっては、漫画のコーナーではなく、児童書のコーナーへまわされてしまう可能性もあるのです。

前おきが長くなりました。
つまり、その日私は「正チャンの冒険」と初めて出会ったわけです。

そのときの周囲の同僚の反応は、いまでも鮮明に覚えています。「正チャンの冒険」の表紙のイメージを見てもらえば、わかると思いますが、エルジュの「タンタン」に似ています(ちなみに「正チャンの冒険」連載が始まったのは1923年、「タンタン」は1929年からの連載ですから、「正チャンの冒険」は「タンタン」の模倣ではありません)。ですから自然と皆「この漫画、エルジュのタンタンに似てるね」とか「昔の日本人がタンタンの真似をして描いた漫画じゃないの?」言われ「こんなの売れるわけないよね(笑)」と早々にレッテルを貼られてしまいました。

「正チャンの冒険」のような漫画とも児童書ともとれない微妙な位置にある本は、もちろんコミック発売一覧表には載りませんから、入荷してきた数は取り次ぎが決定した10冊のみ。

このように書店員の判断によって売られるか、売られないかというその本の運命が決まります(漫画はとくにその傾向が強いです)。ヘタをすれば、担当者によっては、棚に1冊挿して、残りの9冊は即日返品ということすらありえるのです。

しかし、そのときの私は愛蔵版の棚担当者だったので、入荷してきた「正チャンの冒険」を手にとりました。そして表紙を見て、なにか強烈に惹きつけられるものを感じ、本を開いて中をパラパラとめくってみたのです。
(書店の担当者によっては、興味が惹かれなければ、商品の中身の確認もせずパックして店頭に出すことなんて、日常茶飯事です。書店員は一般に思われているよりずっと忙しい仕事ですから、それは、しかたのない一面もあります。全ての商品の中を完璧にチェックしている時間などありませんからね)

「正チャンの冒険」の中を見た私はその瞬間、衝撃を受けました。
センスオブワンダーがあふれでる紙面、抑え目ながらも鮮やかなカラー、想像力を刺激する不思議な話の数々、そしてユーモアに溢れる登場人物たち。

「なんだ!?この漫画!!スゴイじゃないか!」
しかも、解説を読むとこれは大正時代の漫画で、コマ割、フキダシを使った日本で初めての漫画だとも書いてあるのです。
「た、大正!?そのころの日本にこんなにモダンな漫画があったのか!!スゴイ!!スゴイ!!!」
一人で興奮する私。
「これスゴイですよ!」と他の同僚に話すも、
「ふ〜ん」
「そんなの売れないんじゃない?」
と気のない返事。

でも私は、この漫画は絶対売れる!となにか根拠のない予感に、つき動かされていました。

正直言いますと、その頃の私は日本の漫画が大嫌いでしたし、一般的に言われている、手塚治虫以降の記号論を盲信し、漫画の面白さの核をストーリーばかりにしか対象に見ない(自称)漫画好きという輩も大嫌いでした。

アメリカのウィンザー・マッケイやジェフ・ダロウのような、圧倒的な画力で魅せる漫画が好きだったのです。

しかし「正チャンの冒険」はそんな私の日本漫画に対するコンプレックスを一瞬にして吹き飛ばしてくれました。

日本は漫画大国だと声高に叫び、鳥獣戯画に始まった漫画は日本の文化だ(鳥獣戯画については明治時代に国策として漫画の元祖とされた疑いがアリ)、といいつつディズニーアニメを手本として始まった手塚治虫を漫画の神とたたえ、それ以前の大正、昭和初期の戦前にあった漫画文化を振り返りもせず、ただただ似通った漫画を量産し続ける日本の漫画シーンにうんざりしていた私は「正チャンの冒険」にひとすじの光明を見いだしたのでした。

日本は戦前にもこんな素晴らしい漫画作品を作っていた!
日本の漫画は、なにも知りもしない日本政府がうわべだけで「漫画は日本の文化です」などというウソッパチのものじゃなく、本当に世界に誇れる文化だったんだと、目からウロコがボロ、ボロ、ボロ、ボロ、ボロ、ボロ、ボロこぼれ落ちたのでした。

そして私はこの「正チャンの冒険」は絶対に売らなければならない!このまま埋もれさせてはいけない!と思い、さっそく自分の担当の棚に平積みしてその日自分用に1冊買って帰り、翌日POPを書きオススメ商品にしました。

最初の頃こそ、あまり反応はありませんでしたが、徐々に徐々に売れ始めました(出版社による、営業や広告の効果も、もちろんあったと思います)。

そして、私はこの書店を辞めるまでに(雇用期間が決まっていたので、あと2年程で辞めなければいけないことは分かっていました)、この本を100冊絶対に売る!それまでにこの「正チャンの冒険」をオススメ商品から外さないと決めたのでした。

その後、諸事情があって予定より早くその書店を退職することになったのですが、
そのときには「正チャンの冒険」の売上は97冊にまでなっていました。

(97冊というと少ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、金額で計算するとジャンプコミックスが1冊本体価格390円ですから、1800円の「正チャンの冒険」は新書版漫画サイズのコミックス447冊分の売上になったのです。私の勤めていた規模の書店ではジャンプコミックの中の上ヒットクラスの売上でした)

その後、その書店を退職してしばらくたった頃、「正チャンの冒険」を出版した小学館クリエイティブの方からその書店での「正チャンの冒険」の売上がついに100冊になったという連絡をいただきました(これは日本一の売上だそうです)。

このときほど、書店員をやってよかったと思った瞬間はありませんでした。

日本の漫画で初めてコマ割りとフキダシを使った「正チャンの冒険」という歴史に埋もれていた名作を、私ができる範囲のことで最大限に甦らせることができたのではないかと感じました。

「正チャンの冒険」公式サイト

当時、最初に飾っていたPOP


| 手塚前派的漫画評論 | 20:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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