CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
RECOMMEND
UTOPIA最後の世界大戦
UTOPIA最後の世界大戦 (JUGEMレビュー »)
藤子・F・不二雄,藤子 不二雄A
RECOMMEND
オッス!トン子ちゃん [3巻セット]
オッス!トン子ちゃん [3巻セット] (JUGEMレビュー »)
タナカ カツキ
孤独こそ 人間が強烈に生きる バネだ!
孤独こそ 全人類と結びつき 宇宙にむかって
ひらいて いくんだ
RECOMMEND
テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ
テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ (JUGEMレビュー »)
伊藤 剛
手塚治虫=神という戦後日本漫画界の絶対的構図を否定し、漫画評論に新たな息吹をふきこんだ名著。漫画に明確な価値基準を求めた点で、いままでの漫画評論の本とは一線を画す。
RECOMMEND
汽車旅行―復刻版
汽車旅行―復刻版 (JUGEMレビュー »)
大城 のぼる
日本漫画表現史上大変重要な作品。著者は『火星探険』の大城のぼる。漫画表現において初めて『同一化技法』を使用したとされるエポックメイキングな漫画作品。もちろん単純に一つの作品と見ても、上質な絵本のように親子で楽しめる素敵な漫画。
RECOMMEND
 (JUGEMレビュー »)

昭和15年に発行され、戦前の幻の漫画作品といわれた、旭太郎(原作)大城のぼる(絵)の世界で初の長編SFストーリー漫画。
100%ORANGEや寺田順三、スドウピウ作品などカワイイ雑貨や絵本など好きな女性は(もちろん男性も)ぜひ騙されたと思ってこの「火星探険」を読んでみてください。
主人公、テン太郎くんのお供の猫のニヤン子、犬のピチクンが可愛くてたまりません!!
きっとあなたのお気に入りの一冊として、本棚に永遠に居続けることでしょう。
RECOMMEND
正チャンの冒険
正チャンの冒険 (JUGEMレビュー »)
織田 小星, 樺島 勝一
日本の漫画として、初めてコマ割とフキダシを使った画期的な作品。内容は幻想的なものが多く、バウケンカ(冒険家)の正チャンがお供のリス(名前もリス)と様々な場所を冒険するというもの。
「シッケイナ」byリス
「コノカボチャアタマメ」by正チャン
などと名ゼリフ多数。
愉快痛快な漫画です。
音読して読むと8倍くらい楽しめますので、音読をオススメします。
RECOMMEND
きょうの猫村さん 1
きょうの猫村さん 1 (JUGEMレビュー »)
ほし よりこ
日本漫画界において、ストーリーではなく表現形式によって漫画が差別化できる時代になったという、象徴的な作品。猫村さんの唄、そしてネコムライスが良い。
NEW ENTRIES
RECENT COMMENTS
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
 
手塚前派による、漫画評論、及び活動日記
本家→手塚前派・http://tedukazenha.com/
<< コミティア76 同人誌レビュー | main | 手塚治虫と私 >>
手塚前派的 漫画感想日記 4
汽車旅行―復刻版
汽車旅行―復刻版

第4回は『汽車旅行』です。

現在になって、日本漫画史上非常に重要な作品であることが再認識されている漫画です。

著者は前回紹介した『火星探険』と同じ、大城のぼる。
昭和16年12月に発行されていますので、『火星探険』から1年半後に出た、大城のぼる単独による書き下ろし単行本です。

『火星探険』の作者である旭太郎こと小熊秀雄は、すでに前年肺結核にて39歳の若さで亡くなっています。

元々、旭太郎こと小熊秀雄が中村書店に編集顧問として迎えられたのは理由がありました。

そこには『児童読物改善ニ関スル指示要綱』という内務省警保局から出された、少年少女雑誌に対する編集方針への通達があります。

日本が戦争へと突き進むなか「国体の大儀に則り敬神、忠孝の精神の高揚に努めること」という通達があり、中村書店は生き残る道としてプロレタリア文学の詩人小熊秀雄を編集顧問として迎え入れました。

(ポンチ絵と称される俗悪な本とされていた、漫画、特に中村書店のような駄菓子屋を基本の流通ルートとして持っている赤本を出版している版元にとって、権威ある文学作家を顧問に据えることで漫画の内容を内務省の意向に沿うものに替えることで生き残ろうとしたのです)

さて、そのようにして編集顧問となった小熊秀雄も肺結核で若くして亡くなってしまいます。
しかしながら、大城のぼる始め、中村書店の漫画家たちは小熊秀雄の死後もポンチ絵と呼ばれた以前の破天荒な作風から離れ、自然科学の知識を啓蒙する漫画作品を描き続けることになります。

そこに登場した漫画作品の一つが、今回紹介する

『汽車旅行』

というわけです。

『汽車旅行』のストーリー自体は単純です。
東京から京都まで、太郎とその父親が妹のミチ子を迎えに行く。それだけの内容です。
しかもページ数が160頁の予定が128頁に削られているため、京都までたどり着くまえの名古屋でお話は終わってしまっています。

ここまで読むと、『汽車旅行』って内務省の指導要項に沿って描いた、自然科学を啓蒙するためのたいしたことのない内容の漫画なのではないかと思われるかもしれません。

事実、『汽車旅行』の内容は東京駅から始まり、大阪行きの東海道本線に乗った親子が、途中通り過ぎる駅にまつわるためになる逸話を話しながら、開通されたばかりの東海道本線を紹介し、日本の科学技術の隆盛を読者に印象づけるというものになっています。

しかしながら、この『汽車旅行』が日本漫画史上非常に重要な作品とされている理由は、ここまで紹介した以外の部分にあるのです。

それは、コマ割りにあります。

みなさんが日本の漫画を他の国(例えばアメリカ)の漫画と比べるときに、そのアイデンティティとして語る場合、よく聞く言葉として「映画的なコマ割り」という表現を聞いたことがないでしょうか?

日本の漫画はアメリカンコミックやバンド・デシネなどに比べて、より映画的なコマ割りを多用しており、それはもはや常識といえるほど日本漫画の中に浸透していて、演出として効果的に使用されるまでにいたっています。

それを端的に表す言葉に「日本の漫画は読みやすい」という言葉があります。
逆にいえばそれは「アメリカンコミック、バンドデシネは読みにくい」という言葉の裏返しでもあるのです(最近は両者とも、日本の漫画の影響を色濃く受けていますので、そのことは単純に当てはまらなくなっていますが)。
もちろんそれが良いか悪いかというのはまったく別の話しですが。

そして、その映画的コマ割りというのを発明したのは手塚治虫であるという話を、みなさんは事実として聞かされた覚えがないでしょうか?
手塚治虫が戦後、赤本時代に発表した『新宝島』。この作品において、初めて映画的コマ割り(クローズアップ・俯瞰図等)を使用したというのが一般における漫画表現の歴史認識だと思われます。

しかしながら、最近になってこれが間違いだったのではないかという漫画史研究の流れが出てきています。

なぜなら、いま紹介している『汽車旅行』こそが日本漫画史上初めて本格的に映画的コマ割りをとりいれた先駆的作品だということが判明したからです。

技法的に詳しい説明は省きますが、争点とされた『同一化技法』という映画的コマ割りの使用があります。
これは手塚治虫が『新宝島』において漫画に導入した技法とされていましたが、実は『汽車旅行』の中にすでに登場しています。

小学館クリエイティブから出ている『汽車旅行・復刻版』における9頁2コマ目、3コマ目がそれにあたるのですが、簡単に説明すると『同一化技法』とは漫画の登場人物の視点と漫画を読んでいる読者の視点が同じものを見る。つまり『同一化』しているという技法のことです。

(この点については、次回紹介する予定の『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』に詳しく書かれています)

なぜ、このような誤解が生まれたかというと、第2次世界大戦による漫画世代の断絶という原因があります。
つまり戦後、戦前の漫画(特に開戦直前の)に親しんだことのない読者層が手塚治虫の『新宝島』を読んで、それをまったく新しい表現として体感してしまったことに原因があるようです。

手塚治虫自身は戦前にナカムラ漫画シリーズを愛読しており、のちに対談した大城のぼる氏に対して、本人ですら覚えていないような内容を事細かに話して、驚かせた程のナカムラ漫画のファンであったようです。

しかし『新宝島』をリアルタイムで体感した、藤子不二雄等に代表されるトキワ荘世代は、戦前のナカムラ漫画シリーズに親しんでおらず、手塚治虫の『新宝島』を日本漫画における映画的コマ割りのエポックメイキング的な作品と受け取ってしまい、それを後世に伝えてしまいました。

そのため、今日の日本漫画表現の歴史は、手塚治虫の『新宝島』が漫画に映画的コマ割りを導入した最初の作品であるということを既成事実としてしまったのです。

しかしながら、現在ではそれは誤解であったというのが日本漫画表現の歴史上の新しい流れとなりつつあります。

みなさんもぜひご自身の目で、『汽車旅行』を読んで確かめてみて下さい。

もちろんそのような日本漫画の表現の歴史という事を意識しなくても、
大城のぼるの巧みなコマ割り、コマ表現の使用はあなたに、あたかも昭和16年の東海道本線に本当に乗っているかのような疑似体験をもたらしますし、独特の柔らかで繊細な表現や、淡い色彩はノスタルジックな時代の空気をいまに伝えます。

『汽車旅行』は単純に一つの作品と見ても、上質な絵本のように親子で楽しめる素敵な漫画なのです。

<
| 手塚前派的漫画評論 | 17:40 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
「国体の〜」という通達は、『児童読物改善ニ関スル指示要綱』ではありませんね。
| nanashi | 2008/05/11 5:15 PM |
>nanashiさん
コメントありがとうございます。

『児童読物改善ニ関スル指示要綱』と「国体の大儀に則り敬神、忠孝の精神の高揚に努めること」がご指摘の通り別の通達だとして、私の申し上げたかったことは、当時の状況から、出版社は漫画の内容を変容せざるを得なかったということです。

「国体の〜」の中に、『児童読物改善ニ関スル指示要綱』が含まれているように読み取れてしまうとしたら、修正を検討します。

ご指摘ありがとうございました。
| 宇異座間 景 | 2008/05/13 2:15 AM |









http://blog.tedukazenha.com/trackback/247659